高橋義仁研究室 本文へジャンプ
基礎からの経営戦略

2008/05/07 更新
戦略の基本パターン

戦略は3つの基本パターンに大別される。これらを駆使することによって,戦略を構築することができる。

  • コスト・リーダーシップ戦略
名の通り価格の安さを売り物にして競争優位を築く戦略。標的としている市場を一つの統一体として扱い,1つの製品とマーケティング・ミックス* でマーケティングを行う。無差別戦略とも言える方法であり,業界の中で優越的な地位を築いている場合にその優位性が発揮しやすい。(競争優位の源泉:低コスト,競争の範囲:広いターゲット)
  • 差別化戦略
標的としている市場を顧客のニーズにあわせて市場を細分化し,個々のセグメント毎に製品とマーケティング・ミックス* を用意してマーケティングを行う。(競争優位の源泉:差別化,競争の範囲:広いターゲット)
  • 集中戦略
標的としている市場を顧客のニーズにあわせて市場を細分化し,自社がニーズを満たせるセグメントに的を絞って,特定したニーズを満たす製品とマーケティング・ミックス* を用意してマーケティングを行う。集中戦略は市場の細分化に基づく概念である。集中戦略を細分化すると,コスト集中と差別化集中に分けることができる。(競争優位の源泉:低コストまたは差別化,競争の範囲:狭いターゲット)

* マーケティング・ミックス:
マーケティングを実行する人がターゲット市場から期待する反応を引き出すために用いるマーケティング・ツールの組合せのこと。ターゲット顧客に対して価値のある製品・サービスを提供するための具体的方策と言える。
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プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPT)

市場成長率が高いか低いか。自社のシェアが高いか低いかで4つの象限に区切り,その製品がおかれた状況から,長期的な製品戦略を判断するという考え方。

  • スター(市場成長率:高い,自社のシェア:高い)
積極的に先行投資してシェアを拡大することで, 将来安定的な競争上の地位を築く,これが基本的な戦略の考え方になる。
  • 金のなる木(市場成長率:低い,自社のシェア:高い)
企業全体の収益に貢献し,資金源となっている状態の事業。高いシェアを維持することが成長の源泉となる。投下資金を大幅に上回る回収を得るようにしなければならない。経営判断によっては,他の新規事業に得られた資金を投入するために,「金のなる木」への投下資金を抑えることも選択肢としてあり得る。
  • 問題児(市場成長率:高い,自社のシェア:低い)
着実に資金回収しつつも,市場の成長に乗って大化けする機会を窺う事業であるが,自社の事業の収益貢献が薄い場合や将来に十分な自社の成長が見込めないと判断した場合には,資金の回収を図りながら事業規模を緩やかに縮小するという選択肢も検討する。
  • 負け犬(市場成長率:低い,自社のシェア:低い)
自社の力が弱く市場も縮小するので,資金回収を最優先することが基本的な考え方になる。
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5つの競争要因

業界あるいは企業の競争力分析のための考え方。強さ(あるいは弱さ)を,1. 新規参入の脅威,2. 業者間の敵対関係,3. 代替製品やサービスの脅威,4. 買い手の交渉力,5. 売り手の交渉力から判断する。
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専修大学商学部 高橋義仁
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